新型コロナウイルスの診療について思うこと
さて先日は臨時休診とさせていただき、受診を希望されていた皆さんにはご迷惑をおかけしました、ご協力ありがとうございました。
さて、奇しくもその時期に熊本県医師会より発熱外来を行っている医療機関へのアンケートがあり、当院も回答しておりましたが、その結果が報道されておりました。
アンケートは7月26日から今月3日にかけ実施。抗原検査キットの入手状況に回答した696医療機関のうち、最も多かったのが「在庫はあるが卸業者から購入できない」の262件。「在庫がなく卸業者からも購入できない」も66件あり、約半数の医療機関でキットの入手が困難であることが分かった。抗原検査以外でも、PCR検査などの「試薬が不足している」との回答も27件あった。
現場からは「何となく不安で検査したいという人が多い」「キットの在庫が少なく、今後発熱者にどのように対応していけばいいか思索している」など、対応に苦慮する声が上がっているという。
診療(697医療機関が回答)については、約3割の195医療機関が「検査希望の患者が多く、断らざるを得ない状況」と答えた。感染や濃厚接触者になるなどでスタッフが出勤できない状況が多発し、「診療体制を縮小」(55件)、「休診」(8件)している医療機関もあった。
(2022年8月6日熊本日日新聞より抜粋https://kumanichi.com/articles/750218)
7月中旬から全国的な流行が始まり、この報道にある通り当院も現在に至るまでまだまだ検査キットの確保に苦心しております。
また同時期に休診していた医療機関が当院含め8件あり、今回の流行の影響の強さを改めて感じました。
8月8日より、新型コロナウイルス検査も再開いたしましたが、休診前と変わらず、むしろそれ以上に検査希望のご連絡をいただいております。
医療機関にもよると思いますが、当院の場合は1日に約30件前後の検査を行っております。
発熱等の症状があり検査希望される方には可能な限り検査を実施していきたいと考えておりますが、通常の診療も行いながら検査もやっていくというのは、現状だとかなり大変です。
手袋やガウンを着て検査するだけと思われるかもしれませんが、結果の説明や、厚生労働省や保健所への報告の入力、処方が必要な場合には薬局への連絡等、必要な手順は多く、単純に人手と時間をとられます。
元からそうなのか医者として生きていくうちにそうなるのかはわかりませんが、私含め医者は誰でも忙しいことには慣れている、と思います。
しかしそれもある程度の期限が決められていたり、交代要員が潤沢にいる場合であり、今回の発熱外来のように開業医個人の負担でなんとか回している現在の状況はやはり段々と疲弊します。
その疲弊が限界を迎えたのが今回の臨時休診であったのだろうと考えています。
地域医療に貢献することを目標としている開業医としては、可能な限り現状の発熱外来または検査を続けていきたいと考えておりますが、今回のような臨時休診を余儀なくされるような状況が続いたりする場合には、発熱外来を続けていくのかどうかも考えなければならないかもしれません。
個人的には、新型コロナウイルスの診療や検査は、例年のインフルエンザ外来と相当の扱いにしてもらえると、かなり負担は軽減されるかなと思います。
また、現在の全数把握の報告も、初期は可能な限り感染者や感染経路を追うという目的もあったかと思いますが、感染者が多すぎてもはや現状を鑑みるとあまり必要性を感じません。
今後どうなっていくかはいち開業医に決定権はなく、国や厚生労働省からの通達を粛々と履行していくだけではありますが、我々診療の現場の人間含め納得のできる判断をしていただけたらなと思います。
制度が現状に即していないことで、我々が疲弊するのはまぁしょうがないとしても、患者さんが不利益を被るのはなるべく避けたいものです。
今回の件含め、過去にも様々なご意見をいただいたこともございますが、それらはしっかりと受け止め、スタッフともども皆さんにご不快な思いをさせないよう気をつけております。
体調が悪いときは余裕がなくなるのは私どもも十分理解しておりますので、一緒の方向を向いて体調の改善を図っていけると良いですね。
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